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    「ほう、この家鴨あひるの嘴みたやうな金具は、こりや何かな。ほう、こりやよく光る小刀だな。こんなに何本も何に使ふのかな」

    感心したやうに呟くと、房一はくるりと向ふむきになつて歩き出した。

    「さう。――いゝやうだ」

    「ほんとうに火事があつたのかい」

    きよろりとした眼でしきりと家の中をのぞきこみながら、しばらくして

    「ズブリと相手の眼の中へさしこんでしまつたさうでね。――親方すみません、とあやまつたと云ふんだが、どうもね、――何しろ他の人の見てる前でやるんだから、たまつたもんぢやない」

    すると、徳次はびつくりしたやうな眼で房一を見やつた。

    房一は満足げに、かへつて来た犬の頭をかるくたゝいた。

    「さあね、もうかれこれ二十年にもなるだらうかね」

    「今日はえらい早いお帰りだね」

    云ひながら、腹帯の中からまるで金入れとは思へない位に大きな蟇口をとり出すと、十円札を何枚かつかんでいた。そして、ろくに返事も聞かないで房一に押しつけた。

    小谷は房一に話しかけた。

    「ひどい傷だねえ!」

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